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和蘭と一緒に乗ってた船で遭難した。
かなり参っててもう死ぬかもしれないってところで日本という国に助けられて、暫くの間看病してもらってた。
優しくて鮮やかで、俺はそのまま友達になりたかったけど、東の小国にこの俺から言い出すのもおかしな話だし…っつーか友達のなりかたとかよく分からなかったし。
だらだらと長引いている間に、上司から一通の手紙が届いた。

  __そんなちっぽけな国と付き合っていたって割に合わない。
  __もう戻りなさい。

だとさ。
いい奴なんだって何度言ったって聞いちゃくれない。
結局、俺は日本の家を後にすることになった…から。

「お前も帰れよ」
「…」

言うと、和蘭は馬鹿でも見るみたいな顔して俺を見下ろした。
その後小さく鼻で笑う。
…元々の不仲もあるっちゃあるが、カチンと来た。
思いっきりしかめっ面作って睨んでやる。

「何だよ。言いたいことがあるなら言えよ」
「えあ、何もねえけどの。…ええんけ?」
「仕方ないだろ。上司命令なんだから…。俺らがそれに逆らえねぇの、知ってるだろ」
「…おめえん上司ぁめる目ねえわな。もっつけね」
「言ってろ。…けど、居座るのがダメってだけで、また暇見付けて遊びに来りゃいいだけだ。休日時間見つけて会いにくればいいんだからな」
「…まあ。ほやな」
「…?」

もう一度鼻で笑う和蘭の笑みはいつも通り過ぎたんで、その時は奴のその笑みが嘲笑だなんて思わなかった。

全然知らなかった。
だってあいつ本当にいつも通りで、端から見ると完全に大勢の知人の中の一人ですって程度の接し方しかしてなかった。
知ってたら女王が何と言おうと絶対残った。
誰も彼も気付けなかったから、その分何の障害もなく事は進んだんだと思う。
同時刻、周囲と喧嘩しながらも、今度会ったら友達になるぞ!…なんて決意してた自分を思うと、哀しいくらい馬鹿で涙が出てくる。

Duel



「なあ。日本って風邪でもひいてんの?」

時期が時期だ。
のうのうとやってきた仏蘭西を家に入れる気なんかさらさらなくて、門前で追っ払ってやろうと喧嘩腰で出てきた俺にずぱっとそんな質問が飛んだ。
思わず呆ける。

「は…? 何だよ突然」
「いや、最近何度行ってもベル押しても出て来ないからさ…。あちこち聞いて回ってんだよ。お前何か知ってる?」
「知る訳ねえだろ。俺もうあいつん家行ってねーし」
「だーよな~。…ま、誰もお前になんか期待とか欠片もしてねぇから別にいーんだけどぉ~?」
「なら来んな!」
「あーでも…そっか~。おっかしーな。西班牙の奴ももう全然日本の姿見てないんだとさ。葡萄牙もだぜ?おかしくねえ? 前は普通にお茶くらい飲ませてくれたんだけどなー。…まさか死んでたりして」
「…」
「なーんって、はっはっはっは!まっさかなあっ!」

笑いながら帰って行く仏蘭西の背中を見ながら、不意に不安に駆られた。
何か具体的な想像ができた訳じゃなかったが、上司にバレないように急ごしらえで贈り物を片手に持ち、家を抜け出した。

久し振りに訪れる日本の家の門は閉まっていて、何だか俺が介抱してもらってた時より随分他人行儀で仰々しく見えた。
ベルがないんで手で叩くしかない。
どんどん、と何度か叩いたが、全く返事はなかった。
…出かけてるだけか?
それとも本気で病気とか怪我とかで瀕死状態じゃないだろうな。
確認したくても黙って入る訳にはいかないし…。
暫く門の前をうろうろ歩いていると。

「…英国?」
「…!」

背後から声がかかって、吃驚して背筋がぴんっ!と伸びた。
慌てて振り返ると和蘭が小箱を片手にして立っていた。
…仏蘭西とかじゃなくて本当良かった。
思わず安堵の息が漏れる。

「何じゃ、珍しの。…上司から日本禁止令出とんと違んのけ」
「ん? あ、ああ…まあな。…でも日本が風邪ひいたとか噂で聞いてな。…お、俺はほら。貸しとかあるの嫌なんだよ。いつか世話になったお礼に看病してさっさと貸し借り無しにしときたくてな」
「看病…? 誰ん」
「だから日本だろ。…出てこないって聞いたぞ。体調悪いんだろ?」

俺が聞くと、和蘭は一瞬ぱちくり瞬いて、それから顔を背け目を伏せて鼻で笑うと止めてた足をまた動かし、門に両手を添えてた俺の背後を左から右へ通過した。
歩きながら、顎でひょいっと道の向こうを示す。

「…こっちじゃ」
「は? …あ。お、おい…!」

勝手知ったる顔で、和蘭は日本の家の門を素通りし、道の奥へ歩いていった。
意味不明のまま着いていき、随分門から離れた頃、不意に和蘭が足を止めたんで危うくその背中に鼻先をぶつけるところだった。
文句を言う前に、奴が背を屈めて道の左にずーっと続いていた塀の一部を押す。
ギ…と、木材が軋む音がして、塀にぽかりと長方形の穴が開いた。
…が!

「小っさ!!」
「ほんとな…」
「お、おいおい…!お前入れるのか!?」

絶対無理だろと思ったが、和蘭が目の前ですっと入ってみせる。
慣れた感じだ。
奴が入れるのだから俺も入れるに決まってて、思いっきり身体を屈ませると何とか入れたが、それにしたって両手を地面に付かなきゃならなかったんで掌が汚れるし膝の部分に土は付くし…。
大体四つん這いってのがまず無駄に屈辱的だ。

「ったく…。何なんだよこれ…!」
「…おめえ身体かてえやっちゃな」
「うっせえ!!」
「和蘭さん…?」

からんからんと、小気味いい音と犬の声。
はっとして四つん這いだった俺が顔を上げるのと、松の木の間を縫うようにしてやってきた日本が顔を出したのは同時だった。
俺がいることに驚いたのか、日本が双眸を見開いて随分手前で足を止める。
久し振りに見る日本の姿に、胸の中が温かくなる。
慌てて四つん這いから立ち上がると、上着をぴんと両手で下に引っ張って襟を正し、笑いかけた。

「よ、よう、日本。久し振りだな!」
「…」
「俺ん連れじゃ」

俺の言葉に日本が何か返す前に、和蘭が日本に妙にきっぱりと言った。
思わず「あ?」と聞き返すところだったが、その俺の聞き返しも遮る速度で続ける。

「昔みてえに、航海士頼んだでの。…嫌け?」
「え…。あ、いえ…」
「は? ちょっと待てお前何言っ…つーか嫌って何だ嫌って!」
「これぁ土産ん黒糖やざ。…ほんでこっちぁ生糸」
「あ、これはどうも…」
「無視すんなよ!! 俺も持ってきたぞ俺も!」

和蘭を押し退けて土産品を前に持って日本に近づくと、びくっと日本が身を竦めて一歩後退した。
ん…?と思ったが、差し出した品を受け取ってくれたんで違和感は長続きしなかった。
ぎくしゃくしてるだけかと思って。
実際俺も緊張してたし。

「あ…。す、済みません英国さん。ありがとうございます。…お久し振りです」
「あ、ああ…」

深々と頭を下げる日本に合わせて、俺も見よう見まねで頭をさげてみる。
和蘭だけが片手を腰に添えて、無表情に俺らを見据えそこに立っていた。







「体調悪いんじゃないのか?」
「ええ、まあ…。少し」

その夜。
夕食を食べ終わってから少し話して、日本は俺が以前使ってた部屋へ通してくれた。
少し置いてある物が変わってるが、基本的に雰囲気は同じで懐かしくなる。
部屋の端に座ってベッドの代わりに布団を敷いてくれてる日本を眺め、目を細めた。
動けるまで結構寝たきりだった間、傍に座って食事を食べさせてもらたり、話をしてもらったり、本当に良くしてもらった。
あの時からずっと日本には好感しかない。
連れて帰りたかったくらいだ。
仏蘭西が言ったように死んではなかったが(当然だ)、やっぱり元気ではなかった。
ぐったりして見える…と言うか、小さく見える。

「あまり無理するなよな。…あ、そうだ。お前何で門閉めっぱなしなんだ? あれじゃ折角あっても通れないだろ。前はあそこから入ってたのに」
「壊れて、開かなくなってしまったんです。…それじゃあ、私はこれで」
「へ…! だって今来たばっかりだし…。も、もう少し話さないか…!?」

布団を敷き終わってすぐ膝を浮かせた日本に、俺も思わず立ち上がった。
だが、軽く会釈をして日本が俺の伸ばした手を制する。

「すみません…。最近疲れやすくて…」
「あ、そうか…。体調良くないって言ってたばかりだもんな…」
「…すみません」

今さっき自分で聞いたばかりなのに、気遣いが足らなかった。
部屋から一歩廊下に出ると、そこで正座して両手を合わせ、深々と一礼する。

「それでは、お休みなさいませ」
「ああ…。おやすみ、日本」

す…っとドアが閉まって、とたとた響く足音が消えると辺りはしんと静かになった。
…。
て言うか…。

「何か俺、避けられてないか…?」

なるべく考えないようにしていたが、振り返ると無理だった。
余所余所しいにも程がある。
目だって最初に会った時以降2,3回しか合ってない。
…。
い、いやいや…!そんなはずない!
一人でぶんぶん首を振って、ぐっと右手で拳を作る。
明日こそは、俺と友達になってくれって言うぞ。
それから上司に掛け合って、交友を再開するんだ。
一緒にお茶したり散歩したり…想像するだけでほんわかする。
布団に潜ると、横向きになって丸まった。
俺の家とは違う日本の家の匂いに、胸が熱くなる。
…本当に嬉しかった。
死ぬかと思ってたんだ、漂流した時。
それまでずっと孤独だったこともあって、日本の優しさは離れてる間もずっと胸に一番いい思い出として残ってた。

「…♪」

目を伏せてゆっくり呼吸すると、あっという間に眠れた。







上機嫌であっという間に眠れたのに、深夜にふと目が覚めたのは…何て言うか、虫の知らせってやつだと思う。







胸騒ぎがあって、ぐしゃぐしゃになってた布団から這い出た。
…何だ?
ざわざわする。
ざわざわっつーか…胸が締め付けられる。

「…」

胸騒ぎに誘われて、四つん這いでのろのろ廊下に繋がる横開きのドアに片手を添え、そっと開いた。
顔を覗かせ、きょろっと左右を見回す。
特に何もない。

「…何だ?」

目は睡魔にやられてるが、意識だけが妙に冴えていた。
身体はだるいのに感情が先走ってる感覚。
何てゆーか、あれだ。
戦場にいる時と感覚が似てる。
殺気なんてことはないんだろうが…。
片手を首に添えながら立ち上がると、もう一度周囲を見回してみた。
静かなもんで、これといって音もない。

「…。日本…」

ふ…と心配になって、顎を上げて廊下に出た。
息と足音を殺したのは無意識だった。
戦地での癖だ。
廊下を歩いて日本の部屋に行く。
ノックしても返事はなく、寝てるの承知でちょっと…ほんのちょっとだけ寝顔見るくらいならいいかなと思ってドアをスライドさせたが…。

「…あれ?」

日本は部屋にいなかった。
おい和蘭。日本知らないか?…って。
時間も忘れて聞き出そうと、和蘭が通された部屋へ向かってそこも空で…。
そこで唐突に思い至って、凍り付いた。

「……」

…暫くドアに片手を添えて空っぽの和蘭の部屋を凝視していたが、パキン…と天井が軋むのをきっかけに、バッ…!と顔を上げて振り返り、廊下に飛び出した。
走りはしなかったが、足早に屋敷を駆け歩く。
何処か物音がする部屋はないか。
人の気配とか。
明かりは…どうなんだ、消してるのか…?
泣きそうになりながら探して、でもどこにも二人はいなくて、最後に庭に出た時に。

少し離れた場所にある、茶室が目に留まった。
…それが意図的になのか偶然なのか知らないが、物置みたいに小さなその離れの入り口が、ほんの僅か開いていた。





「…っ、…ぁ」

聞くだけで毒が回りそうな理想的な日本の声は、この間ちらっと1回くらいしてしまった俺の想像の中のそれと寸分の狂いもなくて余計に衝撃だった。
細い細い隙間から、殆ど脱げた着物の中で白い肌に両手を伸ばして縋り付く姿が見えた。
部屋の中ただひとつだけあるキャンドルみたいな灯りが扇情的なオレンジの色を差し、細い光の筋になって俺の服の上に伸びてくる。
身体中の血が凍り付いて、こんなに温かい夜なのに…寒い。
頭の中が真っ白で、動けない。
首に両腕を回して顎を上げ、キスを強請る綺麗な日本に和蘭が本当にいつもの調子で淡々と返した。

「…粗相やの」
「すみ…ませ…」
「なも悪いなんざ言っとらんが」

何かに怯えているような日本を横たえ、和蘭が上から何度も場所や角度を変えてキスしていく。

「…。…何故お連れになったのですか」

荒い呼吸の間に、ぽつっと日本の寂しそうな声が響いた。
誰のことなのかは分かり切ってる。
分かり切ってるのに、誰か、俺とは全く無関係の遠い奴の話に聞こえた。

「こないだ話に出たでの。…懐かしくてええわ」
「…忘れました」
「…」
「もう誰にも会いたくないんです…。貴方だけでいいんです…。…狭い場所で、ふたりでいたい」

和蘭の後ろ首に日本が手を回す。

「もっと傍に置いてください…。もっと…」
「…」

伏せめがちだった和蘭が日本を抱き返した所で違和感に気付き、唐突に顔を上げた。
細い隙間の中で、確かに俺と目が合う。
信じられないくらい、その一瞬が長く感じた。
身体から意識が抜け出たみたいな、時間とか空間とか無視した世界に一瞬入った気がした。
…即座に身を引かなかった俺も俺だが、少しの無表情の後で薄く笑った和蘭も和蘭だ。
けど、頭がパニクり過ぎてて、その時は怒りなんて欠片も沸いてこなかった。

「…どうかなさいましたか?」
「ん…。ドアちびっと開いとんわ」
「え…」
「飛び込んだでの…。ええわ。俺ぁ閉めんで」
「あ、ちょ……っ!」
「…!」

甘い声と同時に日本の色付いた小さな肩がぞくっと震え、和蘭が身を離した。
毛布の中に置かれた子猫みたいに、崩れた着物の間に座る日本が深く息を吐いてゆっくり顔を上げ振り返ろうとしたところで我に返り、思わず一歩後退するが、それでも足音を消してたんでまだ良かった。
少しの足音の後、細い隙間の向こうに和蘭がはだけたシャツのまま立ち、戸に手を添える。
戸一枚挟んでるってだけで、距離的にはかなり近距離のまま。

「…Goedenacht」
「…」

静かに一言、俺だけに聞こえる声でおやすみと囁いた。
眼前でカタン…と、戸が閉まった。





久っし振りに泣いた。
ついさっきまで懐かしさと温かさで溢れてた部屋に逃げ帰って、少し我慢したが、ぽろぽろ涙が溢れ始め、その辺にかけてあった上着を引っ掴むと俯いた顔に押しつけて、部屋の端の方で片手を壁に添え、背を丸めて泣いた。
悔しいとか憎らしいとか、そういう具体的な感情じゃなくて、ただ溢れ出した。
明日こそは友達になろうとそればかり決意していたが、俺が日本へ求めてたのは友情すっ飛んで別のものだったらしい。
“それは俺のなのに”という強い衝動だけが内側で暴れまくってて狂いそうになる。
失恋なんて初めてだ、どうしていいか分からない。
だって他人を好きになったことだって初めてなんだ。
こんなに辛いものなのか…?
一度にたくさん飛び越えて、何が何やら解らない。
消化できてない。
…付いてくんなって言ってんのにしっかり今回も付いてきてたらしい友達が何人か恐る恐る出てくるが、声のかけ方が分からなくて戸惑い、纏う光が暗い室内で俺の周囲だけ小さなランプのように踊る。

  __アーサー…。泣かないで。
  __大丈夫よ。和蘭なんてすぐ呪ってあげるから…!

頃合いを見計らって漸く励ましが来る。
小指の先ほどの掌がそっと涙を拭ってくれたが、頭を振った。

「…いや」

片手の甲で赤くなった鼻頭を一度擦りながら、低く応える。
少し泣いて感情が溢れきると、待っていたのは冷静だった。

「いい…。…自分でやる」

ぴたりと止まった涙の代わりに、朝一で自宅へ帰れるようカバンの中に次々と荷物を入れていく。
断り切ったところでぱちん…と、カバンを閉めた。






翌日。
俺が早朝に帰るって言って家を出る時も、日本の見送りはなかった。
体調不良とかいう名目で姿を現さない家主の代理を気取って、和蘭があの狭すぎる門の前まで送ってくれた。
…俺を送ると言うよりは、鍵を閉めに来たと言った方が正しいかもしれない。

「気ぃ付けて帰っね」
「…」

別れ際まで淡々としてるその様子が余計に苛ついた。
まるで、おかしなことは何もありません。全て当たり前のことですが何か?くらいの勢いで顔色一つ変えない。
その顔を少しの間睨んでから、ポケットに突っ込んできた白い手袋を掴み取り…。

「…!」

ぺちっ…、と。
近距離から軽く放って、やる気なく和蘭の頬に投げつけた。
…中身はないがそれなりに硬い手袋は、衝撃でもない衝撃に一瞬顔を顰めた和蘭の左頬に当たって、足下に小さな音を立てて落ちる。

「…」
「……」

奴は軽く息を吐いて肩を竦めると、背を屈め、それを拾って自分のポケットへ入れた。
決闘状が受諾されたことを確認してから、顎を上げて双眸を細める。

「…。お前、」

捨て台詞なんてかっこ悪すぎだが…。

「潰すからな」

低い声で腹の底、心の底から吐き捨てて日本の家を後にした。

家に帰って速攻で武器を揃え、兵を集めた。
和蘭が家に帰ってきたタイミングを狙って、一方的に文句を付ける。
理由は、何でもよかった。
本当に何でも良かった。
あの優しさと笑顔と色気と美しさを、とにかくその両腕から奪いたかった。
それはお前のじゃない。
俺のなんだ。
…。
絶対、俺のなんだからな。






海にその名が知れ渡ってた2つの国の戦争。
制海権を賭けたそれが、実はちっぽけな東の国を奪い合っての決闘だなんて言ったって、世界中誰も信じやしないだろう。



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鎖国時、祖国は和蘭さんのものです。
勝手な妄想ですが、英国の恋愛観は少年的ですごく好き。
2011.11.4

余談:英蘭戦争

その名の通り英国と和蘭の間で起こった戦争。
当時は協力関係で、あちこちへ船を出して海上を支配していたそれなりに仲良し二強国だが、始めは上位だった英国の海商業に和蘭がじわじわ追いつき始め、ついに抜かされて亜細亜などでは英国は負け気味。
誰かが自分の上を行くことに抵抗がある英国が盛り返しを決意し、以降三回にわたりぶつかり合い、結果英国が海上での優位を得た戦争。

第一回はピューリタン革命後。
かの有名なクロムウェルさんが和蘭経済を排除する為に航海法を配布して、「ここ通ろうとしたら撃つから」と勝手に取り決め、実際に和蘭船が被害に遭う。
貿易を終えて亜細亜から帰ってきた船を取られ、中身も全て奪われてしまう。
勿論対抗したがいかんともし難く、ウエストミンスター条約を結んで英国が和蘭の経済衰退を促した。

第二回は王政復興後。
第一回以降またちょっと手を組んで英国と和蘭上司が協力して他の連中を払って歩いていたのに、英国が勝手に和蘭が手を付けていた北米国大陸のニューアームステルダムを占領し、ニューヨークと改名したため喧嘩。
第二回は和蘭が押していたが、仏蘭西が途中で邪魔しに来たのでまた協力しなければならない状況ができあがり、ブルダ条約を結んでかなり英国を許した内容を提示して許してあげた。

第三回も仏蘭西がらみ。
戦いと言うよりは策略に近い。
以前から和蘭が邪魔だった仏蘭西ルイ14世が美女とか送って、英国王チャールズ2世とドーヴァーの密約を結び「俺今から和蘭攻撃するけど、和蘭助けるなよ」って言ってから和蘭を潰しにかかる。
そんな仏蘭西を後方支援。
仏蘭西に攻撃され和蘭は苦戦を強いられたが、何とか持ち前の勇敢さで凌いでいた。
助けない約束だったが、英国国民の“反仏蘭西”という性質、仏蘭西がここで勝ったら強くなって今後叩きつぶせなくなるかもしれない、という声があがり、密約を途中で破棄。
ここでもう一度和蘭とウエストミンスター条約を確認しなおしたことで、制海権は英国のものとなった。







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