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「あぁ~…。どーしよう…」

広島駅。
段々オレンジ色になってきた日光が差し込む中で、新幹線の改札前でスマホを片手に途方に暮れる。
今日、都内に帰る予定だったのに、台風の影響で新幹線も止まっちゃった。
新幹線が止まるんだから、在来線も殆どストップ…。
嘘か本当か分からない情報がSNSで飛び交っていて、どうしていいか分からない。
今日はプロデューサーさんが一緒じゃないし、F-LAGSとしての仕事でもない。単発だ。
プロデューサーさんには連絡して「無理に帰って来なくていいよ」って言ってくれたけど、明日の午後にはF-LAGS三人での仕事が入っているし…。
どうしようもないことは分かっているんだけど、こんなざわついた場所で独りだと心細い。
変装用の帽子と眼鏡はしているけれど、あまり長居しないように、そそくさと駅の中でも端の方へ移動して、駅ビルの中へ入っていく。
…プロデューサーさんが宿泊場所を確保してから連絡をくれるって言ってたけど、確保できるかなぁ。
みんな急いでいるのか、殺気立っててちょっと怖い…。
自分で近くのビジネスホテルを確保してみようと思って調べてはいるけど、どこも満室みたいだし…。
いっそタクシーに乗って離れたホテルにって思っても、この大雨じゃ…。
ちらりと駅ビルの中から窓を見る。
ザーザービシバシって感じで、雨が窓を叩いている。
とてもじゃないけど外へは出られないし、下の方を覗くとタクシーを待つ長い行列ができているのが見えた。
…あぁ。
そりゃそうだよね。
みんなお家に帰りたくて当然だよね…。
今日は帰りがけ、律子姉ちゃんに買い物頼まれてたのに……あぁぁ、怒られるぅ…。
けど、何はともあれ…。

「…」

心細い気持ちで、少し視線を上げてきょろりと周囲を見回した。
…帽子と眼鏡、大きなフードの付いた服を着ているお陰か、まだ誰も僕のことに気付いていないみたいだけど、それも時間の問題だ。
誰かに気付かれてしまう前に、駅からは出た方がいいんだろうな。
でも行くあてが…。

「うう…。とにかく、プロデューサーからの連絡を待ちつつタクシーの列に――…ん?」

取り敢えず駅を出ようと爪先の向きを変えたところで、ふと正面からこちらに向かって歩いてくる二人組に気付いた。
黒いスーツの、大型の男性二人組だ。
全く見覚えなんてないけど……な、何だろう。真っ直ぐこっちに…。
ふと後ろに何かあるのかと思ったけど、真後ろは駅の広い窓だ。
てことは…。
…。
…え? ぼ、僕??
――などと疑問符を浮かべている間に、本当にその二人は僕のすぐ目の前までやってきて、ぴたりと足を止めた。
二人とも…せ、背が高いというか、骨格が太いというか……そういう感じだ。
大柄な男の人たちに行く手を塞がれるように立たれて、さあっと血の気が引いてく音が聞こえた。
当然だけど、ファンの子たちという感じでは、全然ない…。

「……ぁ、あの、えっと…。な、なにか??」
「突然失礼ですが、秋月涼さんですね」
「え……あ、ぃ、いいえっ? 人違――!?」

この辺りのイントネーションで発せられる低い声にびくっと肩を振るわせていると、徐に男の人の片方が、スーツの懐からスマホを取り出した。
画面に映っているのは、僕がトイレで帽子と眼鏡を取った一瞬の時のものだ。
…頭が真っ白になる。
女の子の格好をしていた時もそうだけど、たまにちょっと身の危険を感じる時があった。
その時と、似たような雰囲気かも…。
ど、どうしよう…。
いや、でもこんな人通りの多いところで今すぐどうこうっていうのは――…。
だらだらと冷や汗をかきはじめていると、スマホを示していた男の人がそれを自分に向けると指先で操作した。
…かと思ったら、またそれを僕に示してきた。

「ぁ、あの…?」
「どうぞ。六代目と繋がっとります」
「――…え?」

"六代目"というよく耳にする単語に、ぱちりと瞬いた。
もしかして…。
恐る恐る両手でスマホを受け取って耳に添えてみる。

「も…、もしもし…?」
『おおっ、涼!ワシじゃ!お疲れさんっ』
「だ、大吾くん…!?」

スマホの向こうから届くぱあっと快活な声に驚いて、思わず目の前の黒スーツ二人組を見上げてしまう。
全く見覚えのない男の人だけど……そう言えば、いつも大吾くんのボディガードしてる二人に、雰囲気とか着ている服が似ているといえば似ている…?

『ボスから聞いたぞ。大変じゃなあ。スマホにかけとったんじゃが、通じなくての』
「あ、ごめん…!復旧がいつになるか分からないから、プロデューサーさんと約束した時間まで電源切っておこうと思って…」
『なるほどのぉ。そりゃええことじゃー。広島駅で足止めくらっとるって聞いたんで、駄目元でウチのモンに捜しに出るよう言ってみたんじゃが…。見つけられてよかったわ。状況はどんな感じなんじゃ? そろそろ新幹線は動きそうかのぉ?』
「え、えっと…」

きょろきょろと辺りを見回してみる。
僕を隠すように立っている男の人二人の隙間から改札の方を遠巻きに見て見るけど、まだまだ人が多くて駅員さんが何かを案内している。
掲示板はロスト状態だ。

「まだ暫くかかりそうかも…」
『そうかー。そんなら涼、どうじゃろ。よかったら今日はそのままワシの家に来んか?』
「え? …あ、あっ、そっか!大吾くん今日お休みだっけ?」

そうだ…!
そう言えば、大吾くんは今日お休みだった!
僕が単体の仕事でこっち方面に出かけた後のスケジュールだから忘れちゃってたけど、確か大吾くんのお休みが入っていた気がする。

「ひょっとして、今広島にいるの?」
『おう。おるぞー。ちょっと実家に用があっての。…今は市外におるんじゃが、そう遅くないうちに帰るけぇ、ウチに泊まったらどうじゃ?』
「うわ~っ、ありがとう!すごく助かるよ!」
『どういたしましてじゃー♪ ワシも涼が来てくれるのは嬉しいのお。そんなら、悪いがもう一度ワシんとこのモンに電話を替わってもらえるかの?』
「うん!…あ、スマホの電源も入れておくね。プロデューサーさんにも僕から連絡しておく!」
『おお。宜しく頼むけえ!』

スマホを耳から離して、両手で持って目の前の男の人に差し出す。
さっきまですごく恐かったけど、大吾君の知り合いだって思えば全く恐くないし、ただちょっと体付きが大きいってだけだ。

「あの、これ…。大吾くんが替わってくれって」
「どうも。……はい、替わりました、六代目。……ええ、はい。…はい」

暫く相づちを打っていたかと思うと、男の人はスマホを下げて懐にしまった。
顔を上げて、傍に立っていたもう一人の男の人と合わせて背筋を伸ばす。

「では、涼さん。改めまして、お初にお目にかかります。私ども六代目のこちらでの身辺をお世話させていただいとる使いのモンです。六代目のご自宅に、私らが責任を持ってお連れいたします」
「どうぞ、こちらへ。車で来とりますけぇ、多少時間はかかりますが」
「全然大丈夫です!…あのっ、お世話になります!」

ぺこりと一度頭を下げて、僕は二人について歩き出した。
ごみごみと歩きにくい混んだ駅ナカだから端の方にいたんだけど、体が大きな彼らの後ろを歩いて行くと一瞬だけ空間ができてすごく歩きやすい。
駐車場も道も確かにとても混んでいたけど、あそこで一晩待っているよりずっとマシだ。
それに、大吾君に会えると思えば、ただ待つだけの退屈な時間が、一気にお泊まりっていう楽しい遊びの一日になるから全然違う。
黒い車はやっぱりいつも大吾君を迎えに来るような高そうなやつで、後部座席に一人で乗るのはちょっと緊張したけど……電源を入れたスマホにすぐプロデューサーさんや大吾くんから連絡やメッセージが入って、さっきまでの不安な気持ちがきれいさっぱり払拭された。
雨はまだざーざー降っているし風も強くて心配だけど、誰かと一緒なら、きっと大丈夫。


 

 

「ようお越し下さいました。どうぞ、坊がお帰りになるまで、おくつろぎください」
「あ、ありがとうございます…!」
「ご用がありましたら、何なりと」

そう言って、綺麗な着物をぴしっと着た、ここまで案内してくれた年配の女性が襖を閉めてしまう。
とたとた…という静かな足音が遠ざかってしまえば、いきなり静かだ。
広い座敷。
両手を置いた自分の膝を少し崩して、目の前に置かれたお茶ときれいな和菓子のセットから視線を外し、ほわぁ…と息を吐きながら周囲を見回す。
掛け軸と花が生けてある床の間、備え付けの細工が綺麗な戸棚や今さっき彼女が閉めていった襖絵…。
旅館みたいな玄関をあがって、ここまで案内されるのだって結構歩いたし……そう、本当に旅館みたいな感じのお家だ。
送り迎えされていたりボディガードの人がいたり……こっそり聞いたお祖父さんのことがあるし、大吾くん、きっと立派なお家なんだろうなとは思ってはいたけど…。

「…これはすごい」

天井を見上げれば、細かい細工模様と欄間。照明も普通のとちょっと違う。
ちびちびとお茶とお菓子を食べ進めてはみるけれど……僕みたいな一般庶民にはちょっと居たたまれない空間だ…。
あのまま駅の端で待っていたり、混んでしかたないホテルを探し歩くことと比べると凄くラッキーだし幸せだけど…。

「うう…。大吾くん、早く帰ってこないかなぁ…」

 

 

 

 

どのくらい待っただろう。
時計がないからよく分からないし、カバンに入れてあった本を読んでいるうちにスマホの時計もあんまり見ていなかったから具体的には分からないけど、小説の一章分が読み終わった頃、不意に廊下にどすどすと足音が聞こえて顔を上げた。
静かに歩いていたような、さっきの女の人とは違う遠慮のない歩き方に直感めいたものを感じて襖の方を見ると、丁度それがガラッと大胆に開かれた。

「涼!」
「大吾くん…!」

少しフォーマルな姿の大吾くんが、帰ってきたみたい。
わー。スーツだー。
上着は脱いで左肩に引っかけているからちょっと勿体ないけど、シャツ姿でタイまでして、いつもとちょっと雰囲気が違う感じだ。
大吾くん、お休みだったはずだけど、どこ行ってたんだろ?
知っている相手が現れて、ほっと胸の中が温かくなる。
本にしおりを挟んで閉じる僕の向かいの席に座りながら、にこにこ明るいいつもの笑顔でアウターのボタンを外した。

「合流できてよかったのー!ワシがもっと早くに気付いて連絡できればよかったんじゃが…。悪かったのぉ。心細かったじゃろ?」
「ううん、そんなことないよ…!大吾くんのお家の人が来てくれて、すごく安心したんだから」
「心細くて涙目になっとらんかったかー?」
「な…ってないよっ!」

いつもの調子で笑いながら言われるけど、僕の方が年上だよっ…!
た、確かにちょっとうるっとはしたけど…。

「連絡くれてありがとう。突然あがりこんじゃってごめんね。今日は宜しくお願いします」
「おうっ。大歓迎じゃ!ボスには連絡しといたけぇ、今夜はゆっくりしてってくれ。お仕事ごくろーさん!どうじゃった? 天気が悪かったじゃろ?」
「あ、うん。けどイベントは屋内だったし、その頃は雨風もこんなに酷くはなくてね…」

本当はすぐに「スーツ格好いいね」って言いたかったけど、両腕をテーブルに乗せて身を乗り出し、興味津々って感じで仕事の話を聞いてくる大吾くんに答えているうちに、開けっ放しになっていた襖の向こうに僕を案内してくれた女の人が現れて、静かにその場に膝を着いた。
見れば、新しいお茶セットが二人前…。

「失礼いたします」
「ん? …おお、そうじゃった。着替えて来んとな。まず涼に会いとぉて、そのまま来てしもうたわ。わはははっ!」
「坊、ではお茶の方は…」
「ああ、ええ。そのまま置いておいてくれ。…悪いのぉ、涼。またすぐ戻るけえ、もう少し待っとってくれ」
「うん。ゆっくりでいいからね」
「ありがたいのう。…そうじゃ。夕飯のリクエストがあるんじゃったら、今のうちにそいつに伝えておくとええぞ。きっと用意してくれるじゃろ」
「え? あ、うん」

大吾くんが和服の女の人を示してそう言うから、彼女と目が合ってにこりと微笑まれた。
反射的に、僕もにこっと笑顔になる。
僕らが笑顔の挨拶をしてから、大吾くんが改めてその人に口を開いた。

「分かっとるかと思うが、ワシの一等大事な客人じゃ。めいっぱい持て成してくれ。…じゃあ、涼。ちょっと着替えてくるからのぅ!」

大吾くんはそのまま片手を軽く挙げて、また座敷から廊下へ出て行った。
大吾くんが廊下に出て歩き出すと、今まで全然気付かなかったけど、廊下にいつもの黒スーツの人も一人いたみたいで、大吾くんに付いてまた歩いて行った。
…お家の中でも、あんな感じなのかな?
大吾くんもスーツの付き人さんも、大変だなぁ…。
思わずぼーっと見送った後で、はっとその場にいる女の人のことを思い出し、そっちへ顔を向けた。
新しいお茶セットを出してくれながら、にこにこと尋ねられる。

「夕食は何がええですか?」
「いえっ、何でも構いません!飛び込みで来てしまいましたから、僕のことは気にしないでください…!」
「あら、そうはいきません。今さっきの、聞いとりましたやろ。お粗末ながらご馳走作らんと、坊に怒られてしまいますしなぁ。リクエスト言ぅてくださると、私らも助かります」
「ぇ…。そう、ですか…?」

勿論、そんなことで大吾くんは怒らないとは思うけど、冗談まじりに笑顔でそんな優しい言葉をもらえたら、何か答えた方がいい気がする。
散々迷って、けどすぐにピンとくるものがなくて、結局「じゃあ牡蠣料理を」と観光気分みたいなリクエストをしてしまった…。
申し訳なかったけど、そのお陰で、夕食はすごく豪華な牡蠣料理を出してくれた。
生牡蠣は万が一を考えて止めた方がいいからって、焼いたものを出してくれたんだけど、ちょっと驚くくらい大粒の牡蠣で――…。

 

 

「ふあぁぁ~…。おいしかったぁ~…」

間延びした僕の声が、お風呂場独特の響き方で反響する。
豪華でおいしい食事をいただいて、あったかいお湯たっぷりのお風呂に浸かる…。
はあ…。
しあわせ~…。
ふにゃふにゃと気が抜けて思わず出たそんな声に、湯船の向こう側に、向かい合うようにして入っていた大吾くんが声を立てて笑った。

「確かに、涼にしてはよう食っとったのー」
「だって本当においしかったんだもの。…最初に用意してもらったお茶もお菓子もおいしかったし、お風呂もこんなに広いしお湯がたっぷりだし、至れり尽くせりだよ。まるで旅館みたいだ」

現に、今入っているお風呂もとても広い。
「大浴場」って言うと大袈裟かもしれないけど、少なくとも一般家庭のお風呂って感じじゃない。
床は簀の子がが敷き詰められているし、壁も木造で、天井が少し空いているから半露天って感じだし、湯船は檜風呂。
僕と大吾くんが足を伸ばして入ったってゆとりがある。
お湯の温度は僕にとってはちょっと熱めだけど、広くてたぷたぷってだけで、もう何だか極楽気分。
本当に、旅館に泊まりにきたみたい。
駅でどうしようかと狼狽えていた時を思えば、僕にとっては天国だ。
風呂桶に片腕をかけて、大吾くんが僕へ笑いかけてくれる。
眼鏡もコンタクトも取っちゃったから正直ぼやけてよく見えないけど、髪を洗ったから、いつものふんわりした癖っ毛が水でぺったりしている。
オールバックみたいに前髪が後ろに流れているから、いつもとちょっと雰囲気が違っていて、格好いいかも。

「気に入ったんなら、そりゃええことじゃ。後で作ったモンにも言っといてやらんとな」
「僕もお礼を言いたいな。とっても贅沢なご飯だったし、すっごく美味しかったよ!」
「おお、そうか!ワシの家に誰か来るのは珍しいからのぉ。皆気合いが入っとったのは確かじゃな。最近は、ワシも都内に出ずっぱりじゃし、たまに帰ってくる時は元々気合いが入っとるもんじゃが、そこに涼が来たとなれば、腕の見せ所ってやつなんじゃろうなぁ。アイツらにとっても、涼が来てくれるのは嬉しいことじゃ」
「そう言ってもらえると、ほっとするよ。今日は本当にありがとう。…あ、そう言えば、ご両親は遅いの?」
「うん? ワシのか?」
「突然転がり込んじゃったから…。お礼を言わないとと思って。手土産でも駅で買えばよかった。帰りは、いつも何時頃?」

元々、僕がお邪魔したのがもう夕方だった。
大吾くんが帰って来てご飯を食べて、少しゆっくりしたり遊んだりして今こうしてお風呂に入っているから、最後に時計を見た時はもう九時近かった。
そろそろ帰って来ても…と思ったけど…。
たまに水滴が落ちてくる天井を見上げるようにして、ぼんやり大吾くんが答える。

「んー…。この家はワシの家じゃけぇ、他に誰も帰ってこんなぁ」
「…え?」
「ジイさんがおる本宅とは別に、両親の家は少し離れた場所にあるからのー。確かに本宅にいることも多いんじゃが、兄貴たちの家もそれぞれ別じゃし…。礼の必要はないけぇ、気にせんでええぞ? この家自体が、ワシの部屋みたいなもんじゃ」
「……。へ…?」
「ん?」

ぽかん…としてしまう僕の顔を見て、大吾くんが小首を傾げる。
明るくからっとした愛嬌のある表情は、いつもの通りに見える。
…。
一拍遅れて、わたわたと両手を動かしながら聞いてみる。

「え、えっと…。だ、大吾くん……寮に入る前は、ここ一人で住んでたの?」
「…? 一人っちゅーか、周りのモンはおるけぇ、ワシ付きは何だかんだ十数人はおるかのぉ…。今日もそうじゃが、たまに呼び出しをくらってのー。両親とは顔は合わせとるが、家は割と早いうちから別じゃったのぉ。…まあ、ワシは特になんじゃろーが。学生のうちは学校があるけぇ、寝られれば大してどこも変わらんじゃろ?」
「…」
「じゃから、堅苦しいのはなしじゃ。気にせんでええぞ。今日はワシと涼でお泊まり会じゃ!出たら、ゲームに付き合ってもらうからのー!」
「ぁ…う、うん!」

嬉しそうに笑う声が、またお風呂場独特の響き方で明るく響く。
大吾くんに合わせて笑顔になってみたつもりだけど、どうだっただろう。
ちゃんと笑顔になれてただろうか。

 

 

315プロに所属することが決まった時から、僕は寮暮らしになった。
家を出て、一人前の格好いい男性アイドルを目指して仲間と励んでいるけれど、寮の中には大吾くんや一希さんを始めたくさんの仲間がいる。
けど、それでもやっぱり、とても寂しくなる時だってある。
家に帰りたい、母さんたちに会いたいって思う時が。
あれだけ口うるさくて横暴な律子姉ちゃんにだって会いたくなるんだから、不思議だ。
けど家族ってきっと、そういうものだと思う。
…勿論、残念だけどそう思えない血の繋がりだってあると思う。
思うけど――…やっぱり、抱えている嫌なことや心配ごとが綺麗さっぱりなくなれば、一緒にいたくなるんじゃないかな…。
僕は、きっと無意識に幸せなんだ。
大吾くんがいつも言っている「笑顔」「家族」っていうのは…何て言うか……こういうことなのか…。

「…」

寝室の襖を開けて、縁側から雨降る庭を眺めながらぼんやり感傷的になってしまう。
部屋に付いている小さな廊下みたいな縁側の上には、突き出た屋根があった。
出っ張っている屋根のお陰で、今僕が座っている場所には、雨は全く吹き込まない。
雨は、随分小降りになった感じだ。
…とはいえ雨なのに、庭の石灯籠みたいなところに揺れる灯りがついている。
本物の火じゃなくて、たぶんライトか何かなんだろうけど、まるで本物みたいに時々揺れるし強弱がついている。
幻想的だけど、どこか寂しい気がした。

「…お? 涼?」
「ん?」

襖が開く音がして、振り返る。
さっきまで出してもらっていたココアのカップを下げにいってくれた大吾くんが、部屋に戻って来た。
お風呂からあがって、約束通りゲームをしたり宿題を見てあげたりして楽しく時間を過ごしたけど、明日は午前中のうちに動き出したいし、ちょっと早めに寝ようってことになった。
僕も大吾くんも、着流し(…ていうんだっけ?)の和服だ。
自宅で寝る時は、大吾くんちではこれがパジャマみたい。
ちょっと意外だったけど、こういうのって慣れが表に出てくるものだから、着慣れている大吾くんは様になってるけど、借りた僕は、なんだかいきなり季節外れの夕涼み会って感じだ。
ちょっと情けない…。
とほほ…。
目を伏せてがっくりしていると、戻って来た大吾くんが縁側にいる僕の傍へやってきた。
両手を腰に添えて、上から覗き込むように僕を見下ろす。

「どうした、そんな所で。寒いじゃろ?」
「あ、うん…。そうだね、ちょっと」
「せっかくあったかい飲み物飲んで温まったんじゃ。風邪でも引いたら困るけぇ、そろそろ閉めて寝んとな。今日は一日大変じゃったんじゃから」
「うん。そうだね。…」

大吾くんを見上げてから、もう一度、雨音がする幻想的な庭と、今後ろに広がっている寝室をぐるりと見回した。
何度も思っちゃうけど……やっぱり広いなぁ
少し背を反らすようにして天井を見上げていた僕を、大吾くんが不思議そうに首を傾げた。

「何か気になるんか?」
「あ、ううん!特に何がってわけじゃないけど、大吾くんちって広いじゃない? 話を聞いていると、使わない部屋がたくさんありそうだから、僕と大吾くんが同じ部屋だとちょっと勿体ない気がするなぁって」
「そうか? 確かに客間もあるが…。…涼は、ワシとは別室がええかのぉ? 用意させるか? すぐできるとは思うんじゃが」
「え? …あ、ごめんっ。違う違う!そうじゃなくて、単純に数の話っていうか、割り当て面積の話っていうか…!」
「おお…っ。そういう意味か!」

大吾くんが腕を組んで片手を顎に添え、ちょっと困った顔をしたから、慌てて両手を振った。
軽い気持ちで口にしたけど、勿論大吾くんと同じ部屋が嫌だなんて話じゃない……っていうか、寧ろ別室だとたぶん僕が落ち着かない!
僕の反応を見て分かってくれたのか、大吾くんが腕を組むのを止めて相づちを打った。
さっきの僕と同じように、首だけ振り返って、今入って来た襖の方を見る。

「確かに、寮なんかと比べると、広さだけはあるかもしれんのぉ。一人当たりの部屋数みたいな話になるとそうなんじゃろうが…。…けど、こーも無駄に広い家じゃから――」

視線を戻して、立っていた大吾くんが僕の隣に屈んだ。
にっと笑顔が咲く。

「今夜涼には、ワシの傍にいて欲しいのぉ!」
「……ふぇ?」

こっちを向いて笑いかける大吾君の笑顔が、いつもと少し違って見えた。
照れているというか、いつも以上に少しリラックスしているというか…。
きっと、本当の本当の気持ちなんだろうなって、そう思った。
…ていうか――。
ぐっと両手をグーにして、ずいっと大吾くんへ詰め寄る。

「だ、大吾くん…!」
「ん?」
「今の言葉、すごく格好よかったよ!素敵で大切な言葉だけど、"傍にいて欲しい"なんて、僕今まで言われたことなかったから、今のちょっとキュンときちゃった…!僕が女の子だったら好きになっちゃうかも!」
「そうか?」

素敵で格好いい言葉をさらっと言ってくれた大吾くんに感動して伝えると、嬉しそうにまた笑ってくれた。

「わははは!そうじゃろうそうじゃろうっ。いつでも大歓迎じゃ。ワシはええ男になるぞー!」
「うんっ、きっとすごく格好よくなるんだろうなぁ。…あ、今だって勿論大吾くんは格好いいよ? 僕も負けてられないね!」
「大丈夫じゃ!涼はいつだってぶちかわええからのぉ!」
「か、可愛いは別に目指してないんだけど…。僕は格好良くなりたいんだってば!」
「おっと、そうじゃったな。なーに、そっちも大丈夫じゃ!涼は格好良くてかわええからのぉー。魅力いっぱいじゃー!」
「可愛いは外してくれないんだね…」
「うーむ…。涼には悪いが、事実じゃし、ウソはつきたくないしのぉ…」
「うう…。そ、そうだね…」

お世辞でも「可愛い」を外してくれたら……って、いやいや!それじゃ意味ないもんね!
確かに、ファンのみんなと同じくずっと僕を女の子だと大吾くんが、今みたいに「可愛い」じゃなくて、すぐ「格好いい」って言ってもらえるくらいの男になれば、きっと世間のみんなだってそう思ってくれるはず!
これからも、お仕事と男らしさ、頑張っていこう!
がくりと落ち込んでいた姿勢から、ぐっと両手に力を込めて顔を上げることにする。
眉を寄せて申し訳なさそうな顔をしていた大吾くんが、僕が急に顔を上げたのでぱちりと瞬いた顔をした。

「あのね、僕も、大吾くんが一緒にいてくれた方が落ち着くよ。だから別々の部屋よりは、僕も一緒の方がいいかな」
「そうか。そりゃあよかった。そんなら、そろそろ雨戸を閉めて寝ようかのぉ」
「うん!」

大吾くんが立ち上がったので、僕も下ろしていた両脚を引き寄せて立ち上がった。
部屋の端にある棚に置いてあったリモコンを彼が押すと、上から自動で雨戸が降りてくる。
それを見て、また驚いた。
…すごいなあ。
立派な門があって、たくさんの松の木と鯉がたくさん泳いでいる池があるような綺麗な日本庭園があって、長い廊下がある和洋折衷の大きなお家。
それにお手伝いさんみたいな人とかボディガードさんみたいな人はいるけど……それだけじゃ埋まらないものだってあると思う。
僕だってそれを補えないかもしれないけど、大吾くんがちょっとでも嬉しいなら、僕だって嬉しい。
縁側を離れて襖を閉めて、並んでいる布団の方へ大吾くんが数歩歩いて行く。

「夏じゃったら怪談話でもしたいところじゃな~。嬉しいのぉ。ワシんちに歳の近い誰かが泊まりに来るのは初めてかもしれん」
「ええ~っ。怖い話いやだなー…。…うーん。泊まりかぁ…。でも、僕の家にも誰か泊まりに来ることってないかも」
「へえ…。そうなんか?」
「うん。遊びに来るのはたまにあるけど、なかなか泊まりはないな。部活とかやっていれば、もしかしたらそういう機会もあるのかもしれないね。よ…っと」

眼鏡を外して、枕元に置いた。
本当に修学旅行みたいな感じで、ふわふわの掛け布団をめくってシーツに膝を着く。
…おお。敷き布団に厚みがある。
寝心地良さそう。
両手でぎゅっぎゅと厚みを押して確かめていると、自分の布団の傍で立っていた大吾くんが、さっきとは別のリモコンを天井へ向けた。

「もう消してええかのー?」
「うん。大丈――…あっ、そうだ。ねえ、大吾くん!」
「うん? 何じゃ?」
「布団もっとくっつけて寝ちゃわない? 今日は一希さんがいないけど、僕らも合宿とか修学旅行みたいになるよ!」
「のぉ、涼」

天井へリモコンを向けていた腕を下ろして、大吾くんが丸い瞳で少し不思議そうな顔をして、僕を見下ろしていた。
それまでの会話をちょっと中断させるような突然の呼びかけだったから、僕の方も不思議に思って首を傾げ、彼を見上げる。

「なに?」
「涼は、誰にでもそんな感じなんか?」
「え? …? そんな感じ??」
「…。うーむ…」

目が合っていた大吾くんが、すっと視線を反らしてリモコンを持っていない片手で首の後ろを掻く。
…?
何だろう。"そんな感じ"…??
大吾くんの言っている意味がよく分からないから、きっとお互い話がちょっとずれちゃったんだろう。
改めて「布団をくっつけて寝ない?」と説明しようとした矢先、ぱっと大吾くんが顔を上げた。

「ま、ええか!…よーしっ!そんならくっつけてダブル布団にしてやるかのー!」
「ん? …ぁ、うん!」

あれ?
話通じてた…??
何だか分からないけど突然話が通ったみたいで、大吾くんが布団の横をぐっと押して、こっちの布団にくっつけてくれた。
大きな布団だけど、広い座敷に二枚だけだと寂しいからね。
本当は修学旅行の時みたいに、ちょっと狭いかな?くらいの枚数があって人がいた方が楽しいし大吾くんはその方が好きな気がする。
今日は僕だけで寂しいかもしれないけど、ちょっとでも楽しいと思ってくれると嬉しいな。
広くなった布団から視線を上げると、丁度大吾くんと目があって、にっといつもの明るい笑顔で笑いかけてくれたから、僕も笑顔を返す。

「これで、寝相が悪くてもちょっと安心だね」
「そうじゃのー。さーて、今度こそ寝るとするかのぉ。電気消すぞー」
「うん。宜しく。…わ~。ふわふわだ~」

布団に横になると、体が沈む感じがするくらいふわふわ。
う~ん。気持ちいぃ~…。
…あー。これ、すぐ寝られちゃう…。
電気が消えて、周囲が暗くなる。
けど、天井付近が障子みたいになっているから、縁側の明かりが自然と入ってくる造りみたいだ。
完全に暗くはならないから、いつも小さな照明を付けて寝ている身としてはほっとした。
薄闇の中で、大吾くんが声をかけてくれる。

「涼は、枕が代わっても寝られる方か?」
「うーん…枕によるかなぁ。今日はぐっすり寝られちゃいそう…」
「そりゃ疲れたからじゃなぁ。大変じゃったから」
「うん…。今日ね、大吾くんが電話をくれて、僕本当に助かったよ。ありがとう」
「どういたしましてじゃ。ワシも涼が泊まりに来てくれて楽しいしのぉ。涼の力になれたんなら、ワシも嬉しいけぇ」
「うん…」

話ながら瞼を閉じてしまえば、どんどん意識が沈んでいく。
すぐに大吾くんちの人たちが来てくれたし、言う程疲れていないと思っていたけど、どうやら僕が思っていた以上に疲れていたみたいだ…。
…。
眠…。
ぼぉっとした頭と意識に、独り言みたいな大吾くんの声が小さく響く。

「さっき確認したら、鉄道はもう動いているようじゃったぞ。嵐も移動して、明日の移動は問題無さそうじゃなぁ。……残念じゃ。明日も明後日も、ずっと嵐じゃったらええのにのぉ」

本当に大吾くんが言ってるのか僕の夢なのか曖昧に受け取っている僕の胸元で、布団が少し動いた気がした。
肩あたりにかかっていた布団が引き上げられて、首元までかかる感触…。
…。

「…おやすみ、涼」

あぁ…僕、おやすみ言ってない……。
確かにそう思ったけど、そう思ったのを最後に夢の中に落ちてしまった。

 

 

 

 

 

…朝。
音で、意識が浮いた。
チュンチュンって雀の声と、確かカンカンッ!って棒が当たるような音と…。
けれど、何とか目が覚めてみると、雀の声しか聞こえなかった。

「…。…夢?」

ちょっと寄れた布団に寝転がったまま、ぽやっとした頭で呟く。
朝日は直接は当たらないし電気は消えているけど、昨日と同じく天井付近から朝日が差し込んでいる。
…あぁ。よく寝ちゃった。
この布団本当に気持ちいいぃ~…。
横向きだったけど、もぞ…と鼻先を布団に押しつけるようにしてまた丸くなる。
ふあぁ~…。
しあわせ…。
……とかまた寝に入っている僕の耳に、とたとたと足音が聞こえてきた。
その足音で、はっと我に返る。
そ、そう言えば、人様の家にいるのにあんまりいつまでもぐっすりっていうのは…。
ぱちっと目を覚まして顔を上げれば、もう隣の布団に大吾くんがいなかった。
げ…と思って、慌てて枕元の眼鏡を手に取りながら、膝を立てて体を起こす。

「あわわわ…」

布団を肩にかけた状態で何とか座りこんだところで、ガラッ…と控えめな感じで襖が開いた。
歩き方の感じからして大吾くんなのは何となく分かったけど、紺色の袴を着ていたから、一瞬見慣れなくて誰か知らない人みたいな感じでドキッとしてしまった。
その紺色の袴も、少し寄れている。
…もしかして、朝一で運動でもしてきたのかな?

「…お? 起きたんかー、涼?」
「う、うん…っ」

答えながら、両手でぱっと髪を撫でた。
…寝癖、あんまりついてないといいけど。
部屋の中を歩いて、大吾くんがタンスの中から服を取り出す。

「悪いのぉ。もしかして、音で起きてしもうたか? まだ七時前じゃけ、休日じゃし寝とってもええんじゃぞ~」
「ぁ、ううん。僕ももう起きようかなって…。運動してたの? 朝強いって言ってたもんね」
「ああ。家にいる時の日課みたいなもんじゃ。そろそろ終わりにするけぇ、ひとっ風呂浴びたら朝食にするかのぉ。そうじゃな…。もし起きるなら、朝食は三十分後でどうじゃ?」
「ありがとう。大吾くんに合わせるよ」

まだちょっとぼーっとする頭のまま、何とかそう返してみる。
そういうわけで、朝ご飯は今から三十分後ということになった。
お風呂に行く準備をしている大吾くんの背中を見ながら、両手で頬を押さえ目を伏せる。
…あぁ~。
大吾くんが朝強いのは知っているけれど、こんなに起きる時間に差があると、何だか年上として情けないなぁ…。
ごしっと一度顔を擦ってから、大きな欠伸をしてしまった。
今大吾くんがいなかったら、ぱたっと横に倒れてそのまま二度寝のパターンだ。

「ふあ~…。何だかぐっすり寝ちゃった…。けど、今日は帰るだけだし……まあ、いいかな? ゆっくりでも」
「そーかそーか。気分良く過ごせたのなら何よりじゃなあ。…じゃが涼、午前中には広島を出んか?」
「ん? うん、勿論いいけど。都内に何か急ぎの用事があった?」
「んー。特にないんじゃが…」

私服の着替えを持っていない方の手で、大吾くんが頬をかく。
それから、ちらりとまだ布団の上でだらだらしている僕を見て、にっと笑いかけた。

「このままじゃと、ホンマに涼を皆に返したくなくなるけぇ。早いとこ動かんとな!」
「………ん?」
「そんじゃ、すぐ出てくるけ、支度して待っとってくれー!」

よく意味が分からなくて聞き返してみたけれど、大吾くんには聞こえなかったみたいで、そのまま部屋から廊下へと出て行ってしまった。
一人部屋に残され、間を置いて、こてんと首を傾げる。
…?
…聞き間違い?
何だかすごいこと言われたような気が……ま、まあ勿論、大吾くんは無意識なんだろうけど…。
彼、たまにそういうところがあるからなぁ。
ストレートで、自分の気持ちを隠さないっていうか、オープンっていうか…。
けど、なんだか今のはまるで…。

「…」

もそもそと両腕で布団を引き寄せ、少し持ち上げて口元を覆う。
かーっと頬が熱くなってくる。

「ど…"独占欲"って感じだ…」

自分でぽつりと言葉にした途端、またぶわっと恥ずかしさが顔に上ってくる。
ば、馬鹿なこと言ってるなぁ…とは分かってるんだけど……うん。
でも今のは、普通に聞いちゃうとそんな感じだ。
勿論、親しい友達を誰かに取られたくないって思いは、友達関係の間でもあることもあるだろうとは思うから、大吾くんは素直に僕ともう少し一緒にいたいなって思ってくれたところもある。
…けど、大吾くんはきっと、"大人数"が好きなはずだ。
さっきはちょっとこのまま二人でいたいみたいな台詞だったけど、僕一人じゃ、大吾くんが望むことは、たぶん叶えられない気がする。
だから、きっと彼は、早く事務所に帰りたいんだ。
そして大吾くんが考える"その場所"には、僕もきっと当たり前にいる。

「…うんっ」

ぐっと両手で拳を作る。
やっぱり、早く事務所へ帰ろう。
一希さんがいてプロデューサーさんがいて、みなさんがいて……そして、そこに僕と大吾くんもいればいいんだから!
家族みたいにみんなで一緒にいて、たまにこうして誰かと二人になりたい時は、僕だって彼とその時間を作ることができる。
大吾くんが嬉しいなら、僕もそれが一番嬉しいや。

「大吾くんより随分寝坊しちゃったから、身支度くらいはしっかりしないと呆れられちゃう!」

気合いを入れてから、膝を立てて布団から立ち上がる。
東京駅に付きまでだから、まだ大吾くんと二人でいる時間は新幹線の中の移動時間だってある。
その間、たくさんお話すればいいよね。


一緒に帰ろう




帰るまで、たっぷり大吾くんとお話しよう。
すぐ着替えるって言えば着替えるんだけど、少し乱れていた浴衣の襟と帯を両手でぱっと整えてから、顔を洗いに僕も襖を開けて廊下へ出た。



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六代目が軟禁してくれればそれはそれで素敵なのですが…。
大吾君は器でかいからやらないよなぁとしょんぼりしています。
大吾君好きです。首の太さと骨格太い感じが絶対男らしい体躯になる。
2019.2.21





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