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「ほれ。おめえにこれやっからよ」
「…」
「俺らの友情の証だかんな。無くすんじゃねえぞ!」

木漏れ日の揺れる大樹の下。
明るい幼馴染みは唐突にそれらを手渡した。
掌に乗る小さな小さな装飾品と朝露の乗った白いマーガレットのブーケが、木漏れ日の光を受けてきらきらとそれは綺麗に輝いた。

「…あんな。それおめえのだけ特別だかんな。スウェーリエとかとは全然違ぇからよ、内緒な」

ぼんやりそれを見下ろしてると、幼馴染みはこっそりと耳打ちしてから顔を離し、にっと太陽のように笑った。
こないだ神様からもらったんだぞ…って。
だからお前にもやるからなって。


あまりに早いうちから身に着けていたからだろう。
時間が経って、関係が変わって、酷く当たられ本気で嫌ってた頃も。
どういう訳かそれだけは捨てるという選択肢も…身に着けないという選択肢も思い立ちすらしなかった。

Treasure av meg som jeg ikke verdi



休日。
天気がええんで庭で茶ぁにすんべーって庭にティセットを用意して簡単に軽食作って、そんで食後のお茶が終わって。

「おめえよ、髪伸びたよなー」

丸テーブルに敷いてたクロスを折り畳んでる最中、斜め向かいで食器を重ね終えた丁抹がまた唐突に言ってきた。
そんなに身長差もねえが、ウエイターのように器用に片手で食器類持ちながら、軽く俯き姿勢でいた俺をしみじみと見下ろす。
取り敢えず無視しておく。
二つ折りしたクロスの端と端を重ね、更に二つに折って小さく畳んでいく…が、折り畳みきったクロスの角が微妙にずれてしまい、気分が悪くてもう一度畳み直そうと再び広げる。

「おめえヘアピンしてっから邪魔になんねえで気付かねんだべ。なあ。随分伸びてっぞ」
「…」
「まあ襟足長ぇんも似合ってっからええけどよ~…。あれだな。上からキスされっ時首んとこ垂れてくすぐってえからそんだけなけ……ぶっ!!」

持っていたクロスを全力で不っ細工な顔面向けて全力で投げつける。
奴の持ってる食器がぐらりと大きく揺れ、慌てて両手で持ち直していた。
…折角綺麗に畳めてたっつーのに、最悪。
舌打ちしてから片付けを放置し、テーブルの上に置いといた読みかけの本だけ持って背を向けた。

「ばっかおめ…!皿持ってんのに危ねっ……って。ん? おーい?」
「おめえ独りで片しとけ」

顔面に覆い被さったクロスがぼとりと自然にテーブルに落ちてから阿呆が俺がさっきまで立ってた場所に向かって叫く頃には、家の中へ繋がるバックドアを開けていて、言い捨ててから音を立てて閉めた。



別段その日に予定はなく、何処へ行く訳でもなかった。
買い出しに出なきゃなんねえ必要なもんもない。
…まあ、だから阿呆なんぞと茶ぁ飲んでた訳だが。
室内のリビングにある、窓際ソファの定位置で足を組んで読書を続けてる間、キッチンでぶーぶー文句垂れながら皿洗ってんのがうるさくて、庭とキッチンを何度か行き来してるその後頭部にクッション一つ投げつけた拍子にちらりと横の窓ガラスに映る自分の姿が視界に入った。
膝の上の本から視線を上げ、じっと半透明な自分を見詰めてみる。
少ししてから、右手の指先で横髪を抓んで見下ろしてみた。
…確かに、多少伸びてっかもしれん。
日中あんましピンを外すことなんざねえから視界の邪魔にならんし、後ろ髪の長さとか大して気にしてないのは確かだ。
多少癖は強いが寝癖はあんまし付かない方なんで、女じゃあるまいし、鏡の前に何分もいる訳じゃない。
さっと顔洗って櫛入れて、寝癖が跳ねてなければそれでバスルームを出ることが多いから、長さまで気にしてなかった。

「…」

そんなに伸びてっかな…。
不意に気になって、寄りかかってたソファから背を浮かせ、片手を首の後ろに添えて後ろ髪を見ようとガラスに斜めに身体を捻って後ろを映す。
一撫でしてから項の後ろで左右に分けて、肩の前に流してみた。
…まあ長くはねえけど、無茶すりゃ短く縛れるくらいっちゃ縛れるくらいかもしれねえな。

「んな? 伸びてっぺ?」
「…!」
「ぐえっ!!」

そこまで自分の髪に夢中になってたつもりはないが、阿呆はキッチンの方へ歩いてった気がしてたんで、いきなり左右の肩に背後から両手を置かれ、かなり驚いた。
完全反射で空かさず片腕を上げ、背後のタイを真下に引っ張るとカエルが潰れるような声がした。
続け様、両手で同時にぱし…!と肩に置かれた両手を左右に払ってから空かさずハンカチを取りだし、それで触られた肩を拭いながらソファの背の後ろに立っとった丁抹を顔を顰めて振り返る。

「…おめ勝手ん触んな。ぶっ飛ばすぞ」
「なあ…。俺の手ぁハンカチで拭く程ばっちいんけ…?」

微妙な顔で項垂れてたが回復も早く、さっさか立ち直ると丸まってた背筋を伸ばしてスラックスの後ろ腰へ一度右手を引っ込めると、髪切りバサミを取りだして見せつけるように開いたり閉じたりした。
その度にチョキチョキと支点で金属が擦れる音がする。

「っつー訳で…。切ってやっから!」
「あ…?」

どこか嬉しげに笑いかけてくる阿呆面を眉を寄せたまま半眼で一瞥した後。
諦め半分にため息吐きながら確かに少し伸びてる横髪を耳にかけた。



天気が良かったんで庭で切ろうとテーブルセットからイスを一脚引き摺って少し離れた場所に据え置いたところで、鼻の頭に一滴雫が落ちてきた。
揃って空を見上げる必要もなく、丁抹が真上を向いて片掌を天に向け降雨を確かめてる間に、濡れんのが嫌でさっさと室内に戻る。
夕立は珍しくない。
本降りになる前に引っ込むのがいい。
天気がええうちに茶ぁ飲み終わして良かった。
途中で降られたら最悪な休日になるところだった。
…とは言え、これで庭には出られなくなった。
雨が降ったんで髪切るんは中止かと思いきや。

「あー…。んじゃあバスルームでえがっぺ。な」

何が楽しいのか、右手でずっとジャキジャキハサミを開いたり閉じたりしながら人ん家のバスルームに阿呆が勝手に入っていき、俺は見きれんガキの後を追うような心境でたらたら歩き、遅れてそれに付いていった。
リビングで切るとか言い出したら汚れっから絶対反対だが、バスルームでと提案されると掃除もしやすいし否定しかねる。
バスルームを覗くと、一足先に入ってた丁抹がやっぱり勝手に棚からタオルやらブラシやらを取りだして使いやすそうなシンクの棚にそれらを並べており、袖の釦を外して腕まくりしながら入ってきた俺を振り返った。

「…。何。本気でやん?」
「んだって平日じゃ時間取れねっぺな。“怠慢は時間泥棒”…ってな。…イスでも持ってくっけ?」
「…こんでええべ」

洗面台向いてた彼の背後を通り、軽く背を屈めてバスタブに片手を置く。
向こう向きに壁向いてバスタブん中に両足入れて座れば、俺はそれで十分だ。
高さ的に丁抹の分のイスは必要なんで結局一脚持ってくることになったが、俺の分は不要ってことで断った。
このクソ狭い中、わざわざイス増やして更に狭くしなくてもいいだろう。
上の方にある人ん家の棚漁りまくってごそごそ準備しとる阿呆の肩に片手を置いて靴下と靴を脱ぎ、タイを外して上着も脱ぐ。
シャツになってから最後に髪留め外して、それを手渡してからバスタブの縁に腰掛けた。
足の裏が冷えたバスタブの底に着き、ひんやりとして心地がいい。

「うっしゃ! さ~あお客さん。今日は何じすっぺか!」
「…」
「いつも通りでええけ?」

俺の首周りにタオルを広げてかけながら、店気取りで丁抹が声を張る。
付いていけず無視しておいたら端っから俺の反応は期待してなかったのか、早速霧吹きで髪を湿らせてから櫛を通していく。
ぱたぱた水が滴って髪がしんなりしてくるにはくるが、日中ずっと髪留めしてるんで左の横髪だけ癖ついてて、毎度のことだがそこは水で湿らせる程度じゃ真っ直ぐ直ってはくれなかった。
…考えたら、いつもシャワーで一際濡らしてから切っから、端っから霧吹きで湿らせる程度じゃ無理なんと違うか。
丁抹もそれを思い出したらしく、癖付いてる所を一房手に取り、その毛先を俺の目の前でちらちらさせる。

「なー。ここんとこだけシャワーかけてええけ? ちょっくらシャツとか足下濡れちまうかもしんねえけどよー」
「別に俺ぁ構ねえわ。…終わったら着替えりゃええだけだけだべな」

まさか出先で服濡らせちまったら帰る時困るが、自宅ならすぐに着替えられるし構わない。
何も頭からシャワーぶっかける訳じゃねえし、今着ている服がそこまで気に入ってるって訳でもないので何の問題もない。
俺の承諾を得てから、丁抹が壁に掛かってたシャワーキャップを手に取り、水を出す。

「んじゃあかけっぞー。頭下げとけな~」
「ん…」

座ったまま、両足間のバスタブ縁に両手を置いて背を前屈みにして頭を垂れる。
遅れて癖のある部分だけ狙ってぬるま湯がかけられ、水量自体そんなに出てた訳じゃないが目に入るんが嫌で両目を伏せる。
かかっても構わないとは言ったもののやっぱなるべく水はかかって欲しくなかった…が。
まあ…無理だった。
シャツの左半分とパンツの腿と膝辺りが湿り、バスタブに垂れ落ちて排水口を目指す水は素足の裏を濡らして流れ、少し爪先を動かすだけでぴちゃぴちゃと水音が跳ねる。
何気にその音が気に入って、爪先を上げたり下げたりを繰り返した。
元々全部を濡らす訳じゃないんであっという間に終わり、片手を伸ばしてシャワーのコックを締めてから丁抹が俺の頭に乾いたタオルを落とす。

「あーあー…。やっぱ肩んとこ濡れちったな。平気け?」
「構ねえっつってんべ。うっせえな…」

頭にかかったタオルに両手を添えて、自分で軽く水気を取る。
その間に阿呆は櫛を何種類か揃えて置いていた。
ドライヤーでも使わない限りどう頑張ったって湿気は残るんで、軽く拭いた後で櫛を通すことで漸く癖が強い部分も真っ直ぐに肩へと降りた。
分け目を確認してから、俺の髪に片手を添えて丁抹が髪を梳く。

「おめえたまにゃ髪型変えてみねえのけ? 折角顔立ちええんだから何だって似合うっぺな」
「…興味ねえ」
「アイスみてえに内巻きにしてみっか。ほれ、こーやって…あ。それともあれけ。毛先だけちょいパーマでもかけてみっけ! な。こんとこだけくるる~ってよ。ぜってー似合……ごぶっ!!」
「はよ切れ」

興味ないっつってんのに長くなりそうなんで、苛々しながら半眼で正面向いたまま左手を右手の拳に添えて、右肘を後ろに押し出し阿呆の腹に打ち込んだ。
暫く悶絶し、壁に片手を添えてげほごほ咳き込んでいたが、立ち直ってからはやっと大人しく髪剥きバサミで切り出した。

ハサミで髪を切っていく細い音がタイルに木霊してバスルームに響く。
丁抹に髪切ってもらうんは一度二度なんてもんじゃねえんでいつものことだが、晴れた日に庭で切ることが多かったんで、バスルームなんて室内の湿った場所で切ったっていつも感じる心地よさはねえだろうなと思っていたが、案外場所なんてのは関係ないらしい。
髪を撫でる手とハサミの音に眠気が出てくる。
ふわ…と大きな欠伸をひとつしてから、俯いて目を擦った。
…濡れた足下とパンツの膝に、また少しぱさりと色の薄い金髪が落ちていく。
…。

「おいおい…。寝んなよー? ザックリいっちまうぞ~」
「…いったら泣かすかんな」
「あ~? おめえが寝なけりゃ平気だってえ」
「誰が寝っか。ガキじゃあるめえし。…はよ終わせ」
「あーへいへい。すーぐ終わっかんな~。…襟足さっぱりしたっぺ? 後ぁ前と横ん所…」
「ちょお待ち」
「あ?」

阿呆がいつも髪留め入れて癖ついてる左サイドの髪にハサミを通して切りかけたんを見て、制する為に軽く片手を上げた。
俺の制止に、ばらつきのある毛先を切ろうとしてたその手を一端止める。

「何だ。どした?」
「そこあんま切んな」
「ここけ…? 何でえ。こんとこだけ剥かねえってのは変だっぺな」
「短ぇと返って髪留め挿しにくくなっから。…量ねえと緩くて落ちちまうしよ」
「…」
「…?」

それまでテンポ良く切り返してた阿呆が俺の言葉に相槌も何もなく沈黙したんで、バスルームに妙な間が落ちてきた。
違和感に背中を押され、それまで正面向いてたのを肩越しに振り返って見上げると、どこかぽかんとした妙な無表情があった。
それまでの会話の流れのどこにその面をつくる原因があったのか俺には分からず、眉を寄せる。
直後。
不意にその顔が、にへら…っと緩んだ。
…その阿呆面を見た直後、殆ど反射的に寄せていた眉の間に皺をめいっぱい寄せて俺はますます顔を顰める。

「…何なん、その阿呆面。気色悪…」
「ん。いや…はは。大事にしてくれてんな~って思ってよ」
「……ぁあ?」

更に更に眉を寄せ、声を張って聞き返す。
それまで丁抹が一体何のことを言ってっかよく分からなかったが、そこでやっと気付いた。
気付いた瞬間、猛烈な怒りに似た熱い感情が内側から喉辺りまで込み上げる。
似てはいるがもっと何か別の種類の感情なんは分かってはいるが、それを認めちまうと敗北感みてえなもんがあるんで、絶対に認めはしない。
…とにかく名前を付けないその感情に任せ、濡れて重みのある髪が揺れる程首を振って顔を背けた。
再び正面を向いて舌打ちしてから俯き、片足で足下の水を蹴る。

「ばっかじゃねえの…。横髪だけ伸びんの早えから留めとるだけだべ。留められりゃ他の髪留めでも全然構ねえし」
「ん~? あっはっはっ。そーけ?」
「ちゅーかはよ切れ。無駄口叩いてっとおめえの頭坊主にし……」

そこで言葉を切らしたのは動揺を示しちまった気がして、後々それでもスルーして言葉を続けりゃ良かったとかなり後悔している。
足下見てたから首が前に傾いてた。
濡れた髪の間。
断りもなく不意打ちで背後から空いた項へキスが触れ、俯いてたまま思わず一度爪先やら指先やら肩やらににぴくりと一度力が入った。
喰らうように開いて触れた唇の中で舌先が後ろ首の皮膚を押し、その場所だけやたら熱く湿る。
…何かしらこれ見よがしな反応するんは屈辱で、間を置いて、呆れを見せつけるように鼻で笑ってやった。
片手を上げ、場凌ぎに俯いたまま濡れた前髪を無意味に少し梳いてみる。
眠気なんて一気に飛んだ。
…。

「…な。前髪切っからこっち向けな」
「…。もうええ」

背後を向きたくなくて、掻き上げた前髪を手櫛でまた撫で降ろしながら拒否っとく。
短い苦笑が聞こえた後、背後から片手が伸び、ぬ…っと眼前にジャキジャキと開いたり閉じたりするハサミが現れる。
小さいガキを脅すように、声色を変えて丁抹が凄む。

「見ねえで切っと変になんぞ~!」
「だからええっちゅーとるべ」
「ばっかおめ…。一緒に伸びてんだから長えのは襟足だけじゃなかっぺな。前髪切んねえと目ぇ悪くなっぞ。…そこは軽~く剥くだけにしといてやっから。他んとこの前は切っとけってえ」
「…」

暫く自分の前髪を指先で弄ってたが…。
何かこっちばっか意識してるみてえで返って分が悪い気がし、顔を上げるとバスタブからすっかりびしょびしょになっとる両足出して、くるりと背後を振り返った。
タイルの上に足を置いて丁抹の方を向いたはいいものの、顔を上げるんが怠くて、顔を顰めたまま軽く俯いた状態を続ける。

「…」
「……」

…濡れっぱなしのシャツの肩に熱い手が置かれ、額にキスが来た所で諦めて目線を横に反らしたまま顔を上げてやったら、案の定キスが来て不愉快だった。
長い一回のキスの後、速攻で一発ぶっ叩いた。






「結構切ったな~」

使ったドライヤーのコードを本体に巻きながら丁抹が髪の毛の散ったバスルームを入り口から見下ろして言い、それから開け放ったドア前の廊下にかかってる鏡の前に立ってた俺を振り返った。

「けどよ、こーんな切ったって何でかそこまで長さが変わって見えねえんだから不思議だよなあ~」
「…おめえが切ったんだべ」

髪を掻き上げるようにしてヘアオイルを切り終えた塗りながら、鬱陶しく思いながら突っ込んでおく。
確かに短くはなっているが阿呆の言う通りそこまで長さは変わっていない。
しかしタイルとバスタブに落ちてる髪の量は多く見えるのだから、不思議っちゃ不思議だ。
だが、感覚としては随分軽くなったんで良しとする。
…髪は左サイドだけを少し長めに量を残し、後ろもシャツの襟にちょっと付くくらいで落ちついた。

「なあ、ほれ。ノル」
「…!」

呼ばれて何気なく振り返ると、鼻先に剣を突き付けるような要領で例の髪留めが突き付けられる。
濡れないよう離れた場所へ置いておいたがそれでもやっぱり雫はかかったようで、水滴がいくつか付いており、廊下を照らすオレンジ色が強い灯りに照らされ、きらきらと輝いていた。
その向こうで、丁抹が満面の笑みで笑う。
太陽みたいだとか例える気は今更無い。

「…」

オイルで少しべたついてたんで、どうせ着替えると思ってシャツの裾で軽く拭ってから眉を寄せたまま、片手で奪うようにそれを受け取った。
そんな気はなかったが、髪に挿し終わったタイミングで不意打ちで目が合ったんで、も一回だけキスしてから空かさず片手を上げて阿呆の顔面を押し退けながらその場を脱する。

「…おめえ掃除しとけな」
「ぁあ…!? 俺ひとりでけ!?」

背を向け、言い放ちながら床が濡れねえように湿ったパンツの裾を捲り上げて着替える為に部屋へ歩いていくと、背後からブーイングが聞こえてきた。
無視しておく。
…二階に上がる階段踊り場にも鏡があり、通る瞬間その中の自分と目が合って思わず足を止めた。

「…」

もう一度髪留めの位置を確認してからその辺りを片手で一撫でして、再び階段に足をかける。
着替え終わって真面目に掃除してたら、もう一杯くらいカフェオレ淹れてやらんでもない。



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休日のんびり。
諾さんからはおそらく甘えられないでしょうから案外受け身。
2011.12.3






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