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時間が止まればいいな…とか。
ありがちな表現として思ったことは何度かあるが、まさか夢ん中の子供じゃあるまいし、本気で願ったことはない。
けど最近、そのありがちな表現として胸の中で繰り返してたそれが、じわじわと日を重ねるごとに願いになっていくのが分かってた。
繰り返すが子供じゃない。
夢は見れない、打算はできてる。
ついでに言うと割と賢い。
あらゆる機会で確認できるが、たぶんどんな奴相手でも、思ってる二手先読めてる自信がある。
実に残念だ。
…。

「なあ、日本。…俺さ」

床に膝付き、固いソファに気怠げに腰掛け、両手で乱れてた襟を直そうとしてた日本に静かに下から呼びかける。
あの低い声で何ですかと聞かれる前に、目を伏せ、続けた。

「お前になら…。使われていいと思ってるんだ」
「…」
「連中に馬鹿にされて悔しいんだろ…? やり返したいんだよな。当然だ。…俺なら結構」

箔になれると思うんだ。
…って。
言い出すと同時に顎下に掌が伸ばされた。
言い切った頃に目の上にキスをくれて、嬉しかった。


時間が止まって欲しい。
本気で止まって欲しい。
形だけでいい。
それっぽく振る舞ってくれればそれでいいんだ、俺が勝手に夢見るから。
いつもいつも門前払い。
あれだけ頑なだったのに一番に家から引き出したのが米国ってのが悔しくて、寄って集って責め立てて、何だ、ちょっと脅しゃ出てきてくれるのかって、次から次にアポイント。
我先にと連れ出した手が震えてることに当然誰もが気づいてた。
…忘れちゃいけないし忘れてない。
俺もその1人だ。
きっと本気で愛してはもらえない。
…ゆっくり瞬きして、また目を伏せた。
時間が止まればいい。
本気で止まればいい。
またはループでいい。
けどそれを本気の本気で願える程、無邪気じゃない。
つらい。
…。

Deep love



顎を上げて強請る。
与えられるキスは許されてるようで落ち着けた。



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大好きすぎて堪らないけど虐めた後でした。
好きすぎて捧げたくなる深愛。
2011.10.30









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